はたおり活動

河内木綿の郷土文化サークルセンター創立20周年記念展示会において、皆様の足下のご案内役をつとめました。綿の木が、鴻池新田会所のご協力により、綿花から糸になり、そして、布に織り上がりました。

サークルからの参加者も、歴史ある屋敷での作業に、しばし住持を偲び感銘を受けました。

綿から布になるまで

 

鴻池新田会所にて、ご指導をあおぐ

 

実施日

 

平成17年

2月11日 綿繰り、綿弓

2月25日 糸紡ぎ

3月11日 糸紡ぎ

4月18日 草木染

5月16日 機織

6月 6日 仕上げ

 

綿の栽培

§種まき

・5月上旬(八十八夜のころ)

・陽当たりのよい場所

・水はけのよい土(畑土と砂が6:4くらい)

 鉢植え:直径25㎝程度の深鉢

 地植え:20~30㎝間隔

§肥料

・油粕、骨紛などあまり強くないものを使用

§水やり

・土が乾かないように水をやる(朝夕の2回程度)

§育て方

・種は一晩水につけ、浅く穴を掘って3~4粒入れ、土をかけてよく押さえたあと、たっぷりの水をやる。

・7~10日くらいで芽が出る。

・二葉のときはよくアブラムシがつくため、薬剤(オルトランなど)を散布する。

・本葉が6~7センチほどに成長したら一番肥を施す。

・10センチくらいになったら一番元気な苗を残して間引く。

・20センチ程度に伸びたら倒れないように添え木をする。

・6月下旬、追肥(二番肥)を施す。

・7月中頃、綿木が60センチほどに伸びたら、芯留め(芯を摘み取る)をする。

この頃には、つぼみ(蝶)がつき始める。

・やがて、花が咲き、朔(さく)と呼ばれる青い実ができる。

・7月下旬、追肥(三番肥)を施す。

・8月のお盆の頃より、下の枝から順に白い綿毛をふく。

・ふいた綿は、あめに濡らさないように摘み取って、2~3日天日によく干し、種と綿に分ける。

・夏の天候により、出来具合や収穫時期に差が出る。種は、次の年にまくことができる。

 


綿花から布になるまで

§作業工程

1、綿繰り

綿繰機を使って作業する。

綿花を一対のローラの間にかませ、これを回転して、繊維だけを通過させ、その種を分離させる。

2、綿打ち

綿打弓を使って繰綿を柔らかくなるまで、はじき打つ。なかなか捗らず、体中に糸くずが付き作業は大変でした。結局、業者に依頼する。(綿打上がり、3キロ)

3、糸紡ぎ

糸繰車を右手で回転させ、左手に綿を持ち静かに、綿の繊維を引き出し、糸を紡ぎます。さらに回転させて、糸に撚り合わせをする。思うように綿の繊維が出てくれず、糸が紡げるよう心で念じながらの作業でした。糸をもつれさせないように、紡錘から綛にした糸の輪は、ふんわり手触りのよいまぎれもなく、『糸』となり、生成色のとても美しい仕上がりでした。(綛10束・800グラム)

4、草木染

綛にした糸10束を水に浸しておく。釜に水を入れ、かまどに薪をくべる。くちなしの実100グラムを入れ、30分ほど煮て、染め液を作る。

釜から実を取り出し「かせ糸」を染め液の中に入れ再び30分ほど煮る。弱火にして沸騰させないようにする。

別の容器に媒染液(水3リットルに対し、ミョウバン、10グラム)かせ糸を釜から出し媒染液に30分ほど浸す。

染まり具合いをみて、かせ糸を媒染液から取出し、水洗いをして陰干しにする。くちなしでそめた糸は、やや赤味のある鮮やかな黄色に染まりました。よもぎは、淡い緑の春の香りがほのかに感じられる色に染まりました。。

5、機織り

布幅を定めて、経巻具に経糸を張る作業は不慣れな為、鴻池新田会所の方々に用意していただきました。

経糸は、経糸調整具の「筬」に一本おきに、経糸を通し、上糸と下糸に分け、経糸を張る。緯糸は、板杼とよばれる緯越具に草木染めした糸を巻き、上糸と下糸との間に出来た開口部に右から左へ、緯越部を入れ緯糸を通す。

筬で手前にトントンと打ち込み、緯糸を整える。左から右へと同じ作業を繰り返します。

一本一本の糸は、経糸、緯糸と交わり、心温まる布へと仕上がりました。

美事な『河内木綿』を手にした時、自然素材の良さを実感しました。

鴻池新田会所の職員の皆様には、長時間指導いただき、心より厚く御礼申し上げます。